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会員のやりとりが、流れて消えない場所を

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 会員へのお知らせは、メールの一斉送信で。資料は、そのメールに添付して配る。会員どうしの相談は、宛先を並べた長いメールで回す。会員制の組織の事務局で、こんなふうに毎日を回している方も、多いのではないでしょうか。

 メールは手軽です。ただ、やりとりがどんどん流れていきます。あとから「あの話、どこにあったかな」と探しても、たくさんのメールに埋もれて出てこない。資料も、それぞれの受信箱の中にばらばらに散っていきます。会員どうしのやりとりを、流さずに残せる場所があれば。そんな相談から、会員サイトづくりが始まりました。

会員ポータルのグループ一覧画面。広報部会・研修グループ・総会準備・地域交流・資料アーカイブ・事務連絡のカードが並び、各カードに参加メンバーのアイコンと新着件数が表示されている

テーマごとのグループが並ぶ。会員はログインして、興味のあるグループに入る

メールで回すと、やりとりが流れて消えていく

 メールのいいところは、たしかにあります。だれもが使えて、特別な準備がいりません。届いたその場で読めます。

 いっぽうで、会員どうしのやりとりをメールだけで回すと、いくつかの困りごとがついてまわります。まず、話が流れて探せません。決まったことも、途中のやりとりも、時間がたつと受信箱の奥に沈みます。次に、資料が散らばります。同じ資料が何通ものメールに紛れ、どれが最新か分からなくなる。そして、宛先から漏れた人には、そもそも届きません。

 会員が増えるほど、この困りごとは大きくなります。事務局は、同じ問い合わせに何度も答え、同じ資料を何度も送り直すことになります。

ある会員制組織の、会員サイトづくりから

 お手伝いしたのは、たくさんの会員を抱える組織の事務局です。会員どうしがテーマごとに集まって、資料を出し合い、意見を交わす。その場を、これまではメールで支えていました。

 やりたかったのは、そのやりとりを「残る場所」に移すことでした。会員がログインして入れる、会員だけの場所をつくる。そこにテーマ別の集まり(グループ)を用意して、掲示板でやりとりし、資料もそこに置く。メールのように流れず、あとから探せる。そういう形です。

いちばん大事にしたのは、「流さずに、探せる場所に残す」こと

 ただ会員のページを作るだけなら、よくある会員サイトで終わります。今回いちばん大事にしたのは、そこではありませんでした。会員どうしのやりとりが流れて消えず、あとからちゃんと探せること。ここが、この会員サイトの背骨でした。

 仕組みはこうです。会員は、興味のあるテーマのグループに入ります。グループの中には掲示板があって、そこに書き込むと、やりとりがそのまま残ります。資料も、その話題のそばに置いておけます。だれかが一年前に交わした相談も、そのとき配られた資料も、グループを開けばそこにある。メールの受信箱を掘り返さなくてよくなります。

会員ポータルのグループ『広報部会』の掲示板画面。田中・佐藤・山本の投稿が時系列に並び、PDF資料が添付され、各投稿に返信と印刷のボタンがある。下部にメッセージ入力欄と投稿ボタン

話題ごとにやりとりが積み重なる。資料もその場に置いておける。各投稿は『印刷』で紙にもできる

 だれがどのグループを見られるかは、会員ごとに分けています。役割に応じて、見える範囲が変わる。関係のない人にまで開かず、関係のある人にはきちんと届く。この線引きも、事務局といっしょに整えました。

気づいてもらう、という難しさ

 場所を作っても、書き込みに気づいてもらえなければ、やりとりは続きません。ここが、思っていたよりも大事なところでした。

 たとえば、新しい書き込みがあったときは、メールでお知らせが届くようにしました。ここで一つ、細かいけれど効いた工夫があります。書き込んだ本人にも、同じお知らせを送るようにしたのです。事務局では何人かで一つの窓口を使っていて、だれかが書いても他の人が気づかない、ということが起きていました。本人にも届けば、「たしかに投稿できた」と分かり、周りも取りこぼしません。

 お知らせのメールには、リンクを開く前にログインが必要だと、一言そえるようにもしました。リンクをいきなり開いてエラーが出ると、そこであきらめてしまう人が案外いたからです。小さな案内ですが、たどり着ける人がぐっと増えました。

会議で使えるように、紙にもする

 できあがったやりとりは、画面で読むだけではありません。会議の場では、紙で手もとに置きたいという声がありました。そこで、掲示板の書き込みを、その一つだけきれいに印刷できるボタンを足しました。

 ほかにも、添付できる資料の数や大きさの上限を広げたり、書き込む欄を使いやすい幅に直したり。使ってみて出てきた「もう少しこうしたい」に、その都度こたえてきました。作って渡して終わりではなく、現場のやり方に合わせて、いっしょに整え続けています。

使う人に、むずかしさを持ち込まない

 会員サイトを作るうえで、いちばん気をつかったのは、使う人にむずかしさを持ち込まないことでした。会員も事務局も、パソコンやウェブに詳しい人ばかりではありません。

 ログインの案内、お知らせの届き方、ボタンの置き場所。一つひとつを、迷わず使えるところまで手を入れる。派手な機能を足すことよりも、目の前の一人がつまずかないことを先に考える。地味ですが、ここをていねいにやるほど、会員サイトは長く使われます。

作って終わりにしない

 この会員サイトは、渡したあとも動き続けています。使ううちに出てくる小さな困りごとに、一つずつこたえながら、すこしずつ良くしていく。会員サイトは、公開したときが完成ではなく、そこからが始まりです。

 メールに流れて消えていたやりとりが、探せる場所に残る。事務局の「あの資料どこだっけ」が減り、会員も過去のやりとりをたどれる。そうやって使い込まれていくのを、これからも見守っていきます。

わたしたちにも、相談できます

 会員へのお知らせや資料のやりとりを、メールの一斉送信でなんとか回している。あとから探せなくて困っている。そんなときは、お問い合わせから気軽にご相談ください。いまのメールやファイルの回し方を見せていただくところから、いっしょに考えられます。