時刻のつまみを動かすと、神保町のビルの影が路地を移っていく。そんなサンプルを作りました。建物をえらべば、その南がわに日が当たる時間も出ます。町のかたちは、国土交通省が無償で公開している3D都市モデル(Project PLATEAU)をそのまま使いました。日あたりが見える町からお試しいただけます。
立体にすると、日当たりが分かる
日当たりは、平面の地図では答えが出ません。南向きかどうかだけでは決まらず、隣の建物の高さと、太陽の高さの兼ね合いで決まるからです。夏は屋根の上を越えていく光が、冬は低く差して、向かいのビルにさえぎられます。
そこで、町のかたちを立体のまま持ってきて、時刻を動かせるようにしました。朝に光がさす通りが、昼に明るくなり、夕方には影に沈みます。ひととおり動かせば、その通りが一日にどれだけ日を浴びるかが、説明なしで伝わります。

午前9時。影は通りの西がわへ伸びる

午後4時。同じ場所でも、日かげになる通りが入れかわる
建物ごとに、日照時間を出す
町全体を眺めるだけでは、判断の材料になりません。そこで、建物をひとつえらぶとカードが出るようにしました。「南がわの目の高さでは、午前7時35分から午後2時35分まで日が当たります」と、時間帯を文で示します。
色分けだけに頼らない作りにしています。日なた・半分・日かげの3段は色でも示しますが、同じ内容を凡例の文字と、えらんだ建物のカードにも載せました。色の見え方は人によってちがうため、色だけで伝わる画面は作りません。
3D都市モデルは、無償で使える
建物のかたちは、わたしたちが作ったものではありません。国土交通省が公開する3D都市モデル、Project PLATEAUをそのまま使いました。誰でも無償で入手でき、商用の仕事にも使えます。神保町の交差点から600メートル四方を切り出し、923棟を配置しています。
素材がすでにあることは、費用でも日程でも大きな差になります。撮影も、模型づくりも、使用許可の交渉もいりません。日当たりを出すのに要るデータも、建物のかたちだけです。太陽の位置は、場所と日時が決まれば計算で出ます。
操作は、時刻のつまみ1本
3Dの画面でいちばん多い失敗は、自由に動かせすぎて迷子になることです。ぐるぐる回すうちに、どこを見ているのか分からなくなります。そこで、動かせるものを時刻のつまみ1本にしぼりました。
見る向きは、うえから・ななめから・目の高さの3つからえらびます。自由に回したい方むけの切りかえも用意しましたが、押した人にだけ開きます。時刻の目盛りには朝・昼・夕方と暮らしの言葉を並べ、日の出・いちばん高くなる時刻・日の入りに印を打ちました。
マウスがなくても操作できます。画面に焦点を当てると照準が出て、十字キーで動かし、Enterで建物をえらべます。目や手の状態にかかわらず使えるかどうかは、検査の道具にもかけて確かめました。

操作は下の帯にまとめた。つまみ1本と、3つずつの選びかただけ
スマートフォンでも、待たせない
重いページは、開く前に閉じられます。そこで、作りはじめる前に、どこまで軽くするかを決めました。目標を超えたら見せる範囲を狭める。先に決めておくと、部品を足して重くする方向に逃げなくなります。
結果として、923棟の町ひとつぶんが、写真1枚より軽くなりました。外出先のスマートフォンでも、待たずに開きます。影を計算しなおすのは太陽が動いたときだけなので、開いたまま置いても電池を使いつづけません。
どの用途まで使えるか
こうしたサンプルをお見せすると、かならず「これは正確なのか」と聞かれます。もっともな質問ですので、確かめたところと、そこまでは写していないところを分けてお伝えします。どの用途まで使えるかは、そこで決まります。
太陽の位置は、暦と一致します。場所と日時から計算しており、夏至と冬至にいちばん高くなる角度は教科書どおりの値と合い、東京の日の出と日の入りは分の単位まで暦と合います。9つの確認を機械で回して、すべて通りました。空に描いた3本の光の帯も、計算にもとづく実際の通り道です。
いっぽう建物は、箱のかたちです。屋根の傾きやベランダの出っぱりまでは写していません。日当たりの見当をつける用途には十分ですが、建築基準法の日影規制のような、法令の判断そのものには使えません。
この但し書きは、出典と並べて画面にも出しています。どこまで分かる絵なのかが最初から見えていれば、ご覧になった方が自分で判断できます。
ほかの町、ほかの用途へ
観測する場所は、データのなかに書いてあります。別の町に広げるときは、材料を差しかえれば計算はそのまま動きます。物件の案内、出店の判断、看板やテラスの見え方、太陽光パネルの置き場所。日当たりが判断に効く場面は、業種を問わずあります。
スクロールに合わせて場面が移りかわる映画のように動くホームページも、同じ神保町の町並みで作りました。見せ方の引き出しとして、あわせてご覧ください。
まずは、お試しください
説明を読むより、つまみを動かしていただくほうが早いと思います。日あたりが見える町は、スマートフォンでもそのまま開きます。朝から夕方へ動かして、影が伸びるところをご覧ください。
自社のある町で作ってみたい、商品の説明にこの見せ方を使えないか。そんなご相談があれば、お気軽にご相談ください。どこから手をつければ小さく試せるか、一緒に考えます。
