事務局の仕事を、ひとりに頼らない形に
公開日:
業界の団体や組合の事務局では、会員名簿の管理、総会や講習会の案内、参加の受付といった仕事を、少ない人数で回していることがよくあります。長く続けているうちに、その多くが特定のひとりに集まっていく。心当たりのある方も、多いのではないでしょうか。
ある業界団体でも、同じことが起きていました。会員への案内メールの配信を、事務局を支える担当者がほぼ一手に引き受けていた。名簿はExcelで持ち、会員のIDやパスワードは事務局が決めて郵送する。ていねいな運びで回ってはいたものの、その人が替わると同じようには引き継げない。わたしたちはここから、だれが担当でも回る形をご一緒に考えました。
困っていたのは、仕事がひとりに集まっていたこと
いちばんの困りごとは、事務局の仕事が特定の人に張り付いていたことでした。会員への連絡も、名簿の書きかえも、受付の取りまとめも、その人の手元で進む。幹事の会社は持ち回りで替わっていくため、担当が替わったとたんに運用が止まってしまう心配がありました。
やり方が一人ひとりの記憶や手さばきに頼っていて、手順として書き残されていない。だからこそ、ふだんは静かに回っていても、いざ人が替わるときに困る。会員名簿はExcelのファイルで、案内は紙とメール。どれも動いてはいるけれど、支えているのは「いつもの人」でした。
会員が、自分で情報を更新できるようにした
まず用意したのが、会員の会社が自分でログインして情報を直せるマイページです。住所や担当者が変わったとき、事務局に連絡して直してもらうのではなく、会員自身の手で更新できる。はじめの登録はわたしたちが現行の名簿から入れておき、そこから先は各社に更新していただく形にしました。
直した記録は世代をさかのぼって残るので、前はどうだったかをあとから見比べられます。新しく入る会社や退会の手続きには、承認の一手間をはさみました。会員からの申請を理事が確認して承認する。だれかが勝手に書きかえるのではなく、確かめてから反映する流れです。
パスワードは、これまでのように事務局が決めて郵送するのをやめ、会員自身がいつでも変えられるようにしました。忘れたときも、届いたリンクから自分で新しくやり直せる。事務局が一件ずつ手作業で世話をしていた部分が、そのぶん軽くなります。
講習会の申込を、Webで受けられるようにした
もうひとつは、総会や講習会の申込をWebで受け取るしくみです。これまで紙とメールでやりとりしていた受付を、申込フォームにまとめました。申し込みが入ると自動で返信が届き、事務局にもお知らせが飛ぶので、受け取りの確認に追われずにすみます。
受付を始める日と締め切る日はイベントごとに決められて、期間の外ではフォームが開かない。会員の申込なら、マイページの情報をそのまま呼び出して入力の手間を省き、はじめて参加する非会員の方は手入力でも受け付けられます。集まった申込は一覧で見られて、当日の受付名簿としてそのまま書き出せます。
人が替わっても、同じように回る
この案件でいちばん大事にしたのは、特定の人がいなくても回ることでした。団体では、理事も会長も幹事の会社も、任期で入れ替わっていきます。だから、だれがその役に就いても同じように使えるよう、権限の仕組みを役職の交代を前提にして組みました。
仕事を人の記憶から画面の手順に移すと、引き継ぎは「その人に聞く」から「画面のとおりにやる」に変わります。事務局を支えてきた担当者の負担が軽くなり、次に担う人も身がまえずに引き受けられる。属人化をほどくというのは、つまりこういうことでした。
必要なところから、一緒に決めながら
進め方は、二週に一度の打合せを重ねる形にしました。聞き取りのための一枚のシートを、話しながら少しずつ書き込んでいき、それがそのまま「何を作るか」の共通の設計図になっていく。決めきれなかったことは持ち帰って、次の回で詰めていきました。
あれもこれもと欲ばらず、いまいる分に絞ったのもこの案件の芯です。たとえば申込の定員をシステムで自動に締める機能は、費用が増えるわりに出番が少ないと見て、締め切りのお知らせを差しこむ運用でまかないました。作って終わりにせず、事務局が自分たちの手で回し続けられるところまでを、ご一緒に整えていく。それがわたしたちの進め方です。
こうした移行の全体像は、ひとりに頼らない、仕事の仕組みにまとめています。Excelの台帳がWebになると日々の作業がどう変わるかは、さわって試せる名簿のサンプルでそのまま体験できます。
団体や組合の事務局の見直し、業務システムの移行については、社内システムの開発のページでもご紹介しています。まずは、いま何にいちばん手を取られているかを一緒に書き出すところから始めます。